寒い北風に変わり、心地良い涼しげな海風を暖かい陽だまりの中で受け、それでも私は体調の不良を感じる今日この頃なのであった。
「そろそろ近いのかもしれないな」
この感覚は、前にも感じたことがある。おそらく、皆避けられないものなのだ。
「別に怖くなんかない」
それはやせ我慢ではなかった。
思えば、いろいろな出会いと別れがあった。私はいろんな出会いや別れを間近で見てきたのだ。
それは私が生まれ持つ宿命なのかもしれない。
しかし、それもそろそろ終わりである。季節が移り変わるとともに私の生涯も幕を閉じるのであろう。
沙也加へ告白するあきらの態度は緊張でガチガチだった。
すぐるが麻衣子へ別れを告げたのも見届けた。
ニャン太がタマ代にすり寄っていったのも知っている。
いろんな情景が走馬灯のように心を駆け巡る。
景色の回転する速度がだんだとゆっくりになってきた。もう少しで私も尽き果てるのであろう。
さらに動きのスピードが衰えてきた。まるで、スローモーションだ。
「もう、ダメだ。来年、また、咲くからな、、、」
桜の花びらが、ひとひら散った。