その2 女性の座り方

日本語会話授業中に韓国人女子学生から尋ねられた。
「先生、来週から日本でホームステイするんですが、やってはいけないことってありますか?」
「そうねえ、女の子は人前で胡坐をかいたり、立て膝するとまずいかもね」
「えーっ!胡坐がだめなんですか?私は椅子の上でも、胡坐の方が楽なんですけど」
「うーん。バランス的に凄いとは思うけど、やっぱり日本では無理かな」
「じゃ、どうやって座ったらいいんですか?」
「横座りとか、正座かな」
「正座は絶対無理ですし、横座りも辛そうです」
と日本での生活が急に不安になったようだった。
 
韓国では、女性が胡坐をかくのは普通で、立て膝で座るのは、チマチョゴリを着た時の正式の座り方でもある。
女子学生が学生服のまま胡坐をかいていたのを見かけたことがある。下着が見えたわけではないが、例えば少女時代が胡坐をかいて座るのを想像するのは難しい気がする。
 
さて、韓国で正座をするのは反省や謝罪の態度を示す時だけで、土下座へと続くことが多いこともあり、余程のことがない限り正座はしない。正座どころか、両膝をつくだけでも大変なことらしく、韓国ドラマで、膝をついた女優が「私がここまでしているのに・・・」と言っていて思い出したことがあった。
 
韓国に住み始めたばかりの頃、日本人として礼儀正しいところを見せなくてはと気負い、酒宴の席で正座を通したことがあったが、日本嫌いを自称する私塾経営の先生から、えらく気に入られてしまったのだ。今考えると、日本の過去を謝罪した態度だと思われてしまったようで、苦笑いするしかない。
 


韓国のテレビ局JTBCのドラマ「仁粋大妃(インスデピ)」から