File No.6 大衆からセレブにまで愛される国民食「大豆料理」編
韓国の豆腐料理といえば、まず思い浮かべるのがスンドゥブですが、他にも美味しい大豆料理がたくさんあるらしいのです。韓国で愛される大豆料理の数々を御美子さんが現地からレポートしてくれます。
今回ご紹介するのは、日本で言えば豆腐料理店で出される料理に近いと思うのだが、豆腐だけではカバーできないゆえに大豆料理と呼ぶ。しかしながら、現地韓国でも豆腐料理専門店と銘打つ食堂もあり、多少混乱させられるのは確かだ。個人的な経験から言えば、大豆料理専門店も豆腐料理専門店も出されるメニューは似通っている。
大豆料理専門店に限らず、多くの店で出されるのがパンチャンというおかわり自由の副菜類だ。予め準備されていて、着席して5分もしないうちに出てくるのが普通。韓国人の「何でもパリパリ(速く速く)」に対応していると言われている。湯呑のようなコップに入っているのは手作りの豆乳で、大豆そのものの味しかしないが自然の甘みがある。
純豆腐(スンドゥブ)は日本のおぼろ豆腐に似たもので、日本にある韓国料理店でも食べられると聞くが、こちらはトゥルケスンドゥブと言って、すり胡麻がこれでもかと入った人気メニューだ。
下の写真は他店でパンチャン(副菜)とメインが出そろったテーブル。白いご飯の近くに野菜の盛り合わせのような深めの皿があるが、これは、この中にご飯を投入して、コチュジャンを入れてビビンバにして食べる。このテーブルのメインは中央にある太刀魚の焼き魚とチョングッチャン。この店の場合、豆腐以外の副菜はおかわり自由だった。
チョングッチャンの中には大豆がゴロゴロ入っていて、発酵させた大豆であることから、納豆と同様の匂いがする。納豆好きなら問題ないが、韓国でも好き嫌いの分かれるメニューだ。
こちらは、コンビジチゲとかビジチゲとか言われるメニューで、おからがたっぷり入っている。中には刻んだキムチや小さめの豚肉が入っていることもある。器ごと直火でガンガンに熱しているので、猫舌の人は一口目をなかなか食べ始められない。
ここまでのメニューはメイン料理の値段が8,000ウォンから1万ウォン(800円〜1,000円)、白いご飯が1,000ウォン(100円)の店もあるし、無料の店もある。副菜はセットになっていて、殆どの店が無料でおかわり自由だ。
つぎは、郊外にある豆腐料理専門店で、セレブな奥様方が高級自家用車で乗り付けるような店のコース料理。メイン料理は特になく、この後は普通の店で出てくるパンチャンと釜飯の器に入った白ご飯だけだった。
しかし、よく見ると、豆腐のクオリティーは勿論のこと、器や盛り付けへのこだわりが感じられた。このクオリティーで1万5千ウォン(約1,500円)は魅力的だ。最近、何かで紹介されたとのことで、個室から出た後に改めて一般席を見ると、ほぼ満席。外の駐車場も満車になっていて、人気のほどが窺えた。
大豆料理専門店の価格帯は全般的にリーズナブルだが、店側に欲が出たのか、最近ポッサム(ゆで豚)と一緒に出す店を見かけるようになった。しかし、残念ながらポッサムはポッサム専門店で食べる方が断然美味しく、大豆料理専門店でポッサムを食べるのは、決してお勧めできない。
[2020年7月・記]