運河沿いの家々を見に・シュヴルゥーズ by Miruba

 
BGMを聴きながらお楽しみください↑
「人生は過ぎてゆく by ピア・コロンボ」

8月もそろそろ終わる、郊外まで出かけることにした。

シュヴルゥーズ(Chevreuse)は、パリの南西約28キロに位置する。
イヴリーヌ県にある住民6000人の町で、荒廃した城の町だったというが、近年、花の町コンクールで二つ星(花)を獲得したことで町全体が花で綺麗に飾られており観光客の誘致にも力を入れだしている。


11世紀、シュヴルゥーズ領主ギィ一世が村を見下ろす場所にラ・マドレーヌ城の建設をさせた。1030年から1090年にかけて建設されたダンジョンは、当時木製の柵だったという。12世紀には村も広がり城壁ができて村は城壁に囲まれ15世紀ごろまでに完成しシュヴルゥーズ家やルイ15世なども利用したといわれるが、後に修復されている。また町のどこからも見えそうな12世紀から17世紀に建造されたサン・マルタン教会がそびえている。オルガンは1732年、L・Aクリコの作品だと言う。さらに15世紀に作られたと言う透かしの階段はすばらしいものだ。

今回見たかったのがイヴェット( l'Yvette)の運河沿いの家々だ。


シュヴルゥーズ谷のイヴェット運河沿いにはかつて22もあったという「なめし皮」製造所や公共洗濯場の跡を見ることが出来る。カーテン工房でも有名な場所だったという。その後モロッコなどの安いなめし皮製品に押されて廃れてしまった。


プロムナードデプチポン(promenade des Petits-Ponts)= 小橋遊歩道は、イヴェット運河沿いにある800メートルほどの散歩道だが、片側の川沿いに家が立ち並び、その一件ずつに掛けられた小さな橋々にはどこも花が飾られ可愛らしい。


川面には小さな鴨が泳いでいるし、りんごの実が色をつけ始めている。


谷底から見上げると遠くマドレーヌ城やサンマルタン教会の天にそびえる鐘塔も見ることができて、なかなかに味わい深い散歩道となっている。地元の人、観光客問わず人気の場所だ。
 

川沿いの小道は往来が意外に頻繁で、肩がすれ違うほどの狭さゆえか、地元の人に必ず愛嬌の良い笑顔で挨拶を受けた。パリではめったに無い光景に、こちらも嬉しくてつい笑顔がこぼれる。


日差しはまだ夏のものだったが、日陰は意外に涼しく過ごし易い午後。歩いて少し汗ばんだ体に、カフェでの冷たい飲み物が爽やかに感じられた。カフェのオーナーはシノア(中国人)だとかで、パリで長く営業していたが数ヶ月前にこの街に移転したのだと言う。
「パリと違って人々が優しくて、住み易いところだよ」と笑顔だった。
 


人生は過ぎてゆく、なんかそんな風に感じた。