想い出のイタリア<ヴェニス> by Miruba
イタリアにあるヴェネツィア(ヴェニス)には何度行っただろうか。
シェークスピアの「ヴェニスの商人」はじめ、トーマスマンの「ヴェニスに死す」、キャサリン・ヘプバーンが主演した「旅情」、等身大で観た「ヴェニスで恋して」、迫力のあったアンジェリーナ・ジョリーの「ツーリスト」などなど、小説や映画の場面でも有名。水の都ヴェニスは多くの旅人を魅了し、心をとらえて離さない。
ヴェネツィアは、アドリア海のヴェネツィア湾にできた潟=ラグーナ(Laguna di Venezia )の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都だ。
干潟に建物を建てるために、大量の丸太の杭を打ち込んで建物の土台としたという。"ヴェネツィアを逆さまにすると森ができる"と言われている所以だ。
おじ様たちが声をかけてくる「日本人かい? 楽しんでね」
本島全体が小さな島々からできている。150をこえる運河が177の島々を分け、運河には400におよぶ橋がかかっている。かつては海上に浮かぶ孤島であったが、オーストリア帝国治世下の1846年にイタリア本土との間に鉄道が敷かれた。自動車用道路用の「リベルタ橋」もありイタリア本土との往来もできる。
400ある橋の一つ有名なリアルト橋
ただ、迷路のような狭い路地や通りに自動車は入れないので、何世紀もの間市内の輸送は観光客用のゴンドラ (gondola) と呼ばれる手漕ぎボートや水上バスやフェリーが市民や貨物を運んできた。地下鉄の路線図の様にヴァポレット(水上バス)路線図があり、時刻表も意外に正確だ。
サンマルコ広場の一角にあるドゥカーレ宮殿に入る、ヴェネツィア共和国の総督邸兼政庁であった建造物。8世紀に創建され、14世紀(1309年)-16世紀にかけて現在の形に改修された。
サン・マルコ広場に面して建造され、運河を隔てて対岸の牢獄跡と、ため息橋で結ばれている。
ため息橋の隙間から見えるヴェニスの町。投獄された人たちは、ここを毎日通る。どんな思いで牢屋の外を眺めていただろう。渡る度に溜息が漏れた。ゆえに溜息橋と呼ばれたのだ。犯罪者はもちろんのことだが、政治犯や冤罪の人も多くいたという。
ドゥカーレ宮殿の内部、天井画も美しい。
壁画ティントレット作の『天国』は7mX22mあり8年もかけた大作で、世界一大きな油絵といわれている。ティントレットはしかし、この大作の完成を見ることはできなかった。あと少しというところで亡くなり息子ドメニコや工房の手を加え完成にいたった。
サンマルコ大聖堂(ちなみに、真ん中あたりに4頭の馬の像が見えるが、ナポレオンに奪われパリのカルーゼル凱旋門の上に設置されていた。ナポレオンの没落後の1815年にヴェネツィアに返還され現在に至る)シスターたちが見学のためサンマルコ大聖堂に並んでいた。駅でも修道士達を見かけた。宗教絵画を見るだけでも興味のある町という事がわかる。
海から手が出てきて建物を支えている、らしい。
海に浮かび海とともに生きる街ヴェニス。建造物と自然が溶け込んだ街だ。
サンマルコ広場で夕涼み、楽団がいくつも出て、カフェの客を楽しませてくれる。
素敵な夜の始まりだ。さて明日はどんな一日になるのだろう。