第5回  ダンスビートの音楽 / R&B 
「 グルーヴ ミー」by  ガイ

さて、皆さん!

音楽のジャンルで、R&B(アールアンドビー)って聞いたことがありますよね。リズム&ブルースの略なんですが、日本でも、MISIA、宇多田ヒカル、青山テルマ、久保田利伸などなどたくさんの歌手がR&Bのミュージシャンだと言われます。
いったいどんな音楽がR&Bなんでしょう?
ちょっとややこしいのですが、実は、ブラックミュージックの歴史の中で、R&Bという言葉が2回登場します。1回目は、ロックの黎明期にもあたる、ブルースにノリのよいリズムが加わりはじめたころ。ブラックミュージックはレイス(人種)ミュージックと呼ばれていました。しかし黒人だけのものから一般に広く好まれるようになるにつれ、名称を変えようということになり、リズムアンドブルースとなったのです。これが1947年です。
そのあと、R&Bは、ロックとともに世界的な流行となっていきます。イギリスのロックバンド・ローリングストーンズも「R&Bバンド」を自称していました。
さらに時代が下り、R&Bは、さらにビートが変化、洗練されていき、70年代にはソウルミュージック、80年代にはブラックコンテンポラリーと称され、90年代以降、なぜか再びR&Bと呼ばれるようになったのです。
現在、R&Bというのは、ブラックミュージックというのとほぼ同義と言ってもよいと思います。曲の特徴に注目した言い方であればR&B、そしてそれが黒人の音楽に端を発していることに強く注目すればブラックミュージックと呼称するのではと感じています。

つまり、「ソウルの神様レイ・チャールズも、ファンクの帝王ジャイムス・ブラウンもR&Bのミュージシャン」といえますが、そのときの「R&B」は、いまのブラックミュージックという意味のR&Bの使い方になるわけです。
なお、この2つの違いを明確にするために、古い時代のR&Bをリズムアンドブルース、新しいR&Bをアールアンドビーと呼び分ける人もいるようです。

ややこしいですが、これが分かればあなたも今日からブラックミュージックについてちょっと蘊蓄を語って自慢できます^^。
さて、前置きが長くなりましたが、今回の曲を聴きましょう。



これは、80年代後半、一世を風靡したニュー・ジャック・スイング”(以下NJS)と呼ばれるビートです。この、ガイというグループのリーダー、テディ・ライリーが生みの親の一人と言われています。黒音(ブラックミュージック)ファンが好む引き摺るようなアフタービートと跳ねるようなシンコペーションが絶妙に合わさり、追っかけっこをしているようでもあります。おっと、すいません。興奮して思わず音楽用語がたくさん出てしまいましたが、分からない方は、気にしないで読み進めていただいて問題ありません^^;
 
とにかくこのサウンドは、それまでのブラックミュージックを現在のR&Bへと、活気づけ推進しました。いままでのファンを置き去りにせず、旧世代のファンも惹き付けた点はとても重要だと思っています。

ブラックミュージック特有の感じを保持したまま、軽やかなスピード感と親しみやすいメロディがあり、ダンサブルなNJSはブラックミュージック界だけでなく、ポップミュージック界全体に激震を与えました。
この一大ブームの後、テディ・ライリーは新しいビートを生み出せませんでしたが、私はNJSだけで十分だと思います。ロックンロールやファンクミュージックの様な決定的な存在にはなりませんでしたが「革命の効用」はありました。それに「懐かしいサウンド」になってしまった事が何とも愛おしいのです。

それでは、また!