将棋ファン必見
っ!と驚く、初手3六歩戦法 1     by 鬼河原厳蔵

▲3六歩


先手の第一手めが相手の意表をつく▲3六歩。これがこの戦法の骨子です。飛車のこびんを自ら第一手めに開けてしまうという何とも奇妙な戦法です。よほどの初心者でも指さない手でしょう。奇妙な初手の戦法としては、角頭歩突き戦法が有名ですが、この戦法は果たして勝算があるのでしょうか。先手▲3六歩に対して、後手の応手はほぼ2通りに絞られます。①△3四歩、②△8四歩です。まずは△3四歩から検証してみましょう。


①△3四歩


初手▲3六歩は、いかにも筋の悪そうな手であり、簡単にとがめられそうな気がします。そこで、後手は飛車のこびんを狙い△3四歩と突き返します。もちろん、次の狙いは△5五角です。
▲3八飛
先手は後手の△5五角を予想して、あらかじめ▲3八飛と逃げておきます。これで、△5五角には▲2八銀でなんでもありません。それどころか、このままでは▲3五歩と先手の飛車先の歩を切られてしまいます。そうなっては、後手は何のために△3四歩と突いたのかわからず、むしろ先手のお手伝いをしてしまったことになります。そこで、後手の応手は①―1△3二飛もしくは、①―2△4四角になるはずです。


①―1△3二飛


そこで、後手は△3二飛と振って歩の交換を避けようとします。初手▲3六歩に対して、後手が△3四歩と突いた場合は、この局面になる公算が高いと思われます。とても形勢判断をする局面ではありませんが、先手は自分の主張が十分通った形であり、後手は△3二飛を限定されているため、相手が居飛車党の人には有効です。少なくとも▲3六歩をとがめられなかったことは確かであり、先手は精神的には有利になっていると思います。あとは、▲2八銀、▲5八金から▲7六歩と角道をあけて▲3七銀という要領です。△3二飛では▲3六歩をとがめることができませんでした。では、次に後手が△4四角と変化した場合を検証してみましょう。


第2講へ→