第8回 セクシーな音楽
「ファックユー シンフォニー」 by ミリー・ジャクソン
さて、皆さん!
ブラックミュージックの特色ということでいろいろ見ておりますが、今回は「色気」についてのお話を。
まずは、曲・・・と言えるかどうか・・・とにかく聴いてみましょう。
1972年デビュー、女性ソウル界の大アネゴ的存在のミリー・ジャクソンです。
彼女のステージは猥談の宝庫だそうです。以前、ライブの映像が日本のテレビで放映されたのを見ましたが、歌いながら客席に下りたミリーが男性客の股間を次々とむんずと掴んで品評会。堪らず飛び上がる男性もいました。テレビ局はNHKでしたが、よくぞ放映したものだと思いました^^。
ミリーに限らず黒人音楽には色気を通り越しエロ気を強調する傾向もあります。ブルースの歌詞にはダブル・ミーニングを表現手法にしたものが多々あります。ダブル・ミーニングとは、民族音楽などでもよく見られる手法で、表の歌詞の裏にエッチな意味がかくされているものです。レモンを搾る、ミルクを飲む、フルーツ・バスケットにバナナとか、表現はさまざま。車などの「乗り物」、レコード針などの「突起した物」もよく使われます。
これは現代音楽でもありますよ。サザンの桑田佳祐さんの詩のあれこれを思い出してください。RCサクセションの「雨上がりの夜空に」や、シーナ&ロケッツの「レモンティー」などの歌詞も傑作です。ご存じない方は、ググってみてください。
エロ気をソフトな色気にシフトチェンジすると、ロマンチックなんて呼び名になりますが、男性のファルセット・ヴォイスを中心にしたソウルのコーラス・グループはスウィートソウルと呼ばれ人気がありました。日本では“甘茶ソウル”と呼ばれ、根強いファンがいます。
歌詞のテーマでは、古いブルースの時代から不倫、間男もよく登場します。70年代のディスコ全盛時代、チークタイムの定番でもあったビリー・ポールの「ミー・アンド・ミセス・ジョーンズ」、ディープなソウル・シンガー、ジェイムズ・カーの代表曲「ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート」は、裏道の暗がりのような場所でしか逢えない男女の恋愛を歌っています。
ミリー姐さんも歌っている「(If Loving You Is Wrong) I Don't Want To Be Right」も代表的不倫ソングです。日本語にするなら「君への愛が間違いだというなら正しさなんていらないわ」という感じでしょうか。
今回は傑出したソウルシンガー、ミリー・ジャクソンを紹介し、ブラックミュージックの色気についてお話したとところで、大股開き、いや失礼、お開きとさせていただきます。エロや男女の情愛について大らかであることはとても人間的とも言えますよね。
それでは、また。
スウィートソウルと呼ばれるジャンルから、
ビリー・ポールの「ミー・アンド・ミセス・ジョーンズ」です。
ミリー・ジャクソンのアポロシアターでのライブ。
歌声も曲間のMCもとにかくパワフルです!19:30の後あたりから客席へ^^