第4回 ハワイのルネサンス
「I'm a livin' on a easy」 by ギャビー・パヒヌイ
アローハ!
1970年代に入った頃、ハワイアンルネサンスという運動がおきます。
アメリカ化政策によって、非文明的として否定されて来たハワイ語や土着の文化を見直そうという運動です。
1820年に、フラは宣教師たちの一方的な価値観で全面禁止されました。これはハワイ文化にとって衝撃的な事件です。その54年後にカラカウア王により再び解禁となるのですが、その間にどれだけの文化が失われてしまったか想像に難くありません。文字がなくフラで伝統文化を伝えていたハワイ人からフラを取り上げてしまったわけですから。もし日本語が50年禁止されたらと思うと、その深刻さは計り知れません。
解禁されても、フラにはさらなる問題が続きます。それはハワイ王朝が崩壊させられたことです。英語が強要され、ハワイ語を使う人も減っていきます。アイデンティティを失ったフラは、見せ物的要素が強まり、ハワイの人の関心もフラの教室も激減していっていたのです。
ところが、そんなハワイのアメリカ化がずっと進んだ70年代にハワイアンルネサンスがはじまります。そしてその頃、音楽の分野に現れたのが、ギャビー・パヒヌイという人でした。彼のギターと歌はハワイの人々のアイデンティティを呼び起こし、音楽に連動したフラも息を吹き返してきたのです。
では、お聴きください。
ギャビーは、「スラック・キー・ギター」と呼ばれる特殊なチューニング(調弦方法)を使用して、米本土での人気も獲得していきました。
その後、シリル・パヒヌイ、レイ・カーネ、ケオラ・ビーマーなどの代表的プレイヤーが登場し、優れたギターインストゥルメント音楽を広めることになりました。
ハワイアンのギターといえば、第1回でお聴き戴いた「スチールギター」と、もうひとつ「スラック・キー・ギター」というものが有名になったのです。
歌詞やメロディは新しいのですが、フレーズや歌い方にハワイのトラディショナルの雰囲気を十分に取り入れた楽しい演奏になっています。
当時、日本では若者向け男性誌の『POPEYE』が、ハワイアンルネサンスとギャビー・パヒヌイを特集したり、紹介したりしていました。
では、次回は新しいハワイアン音楽を取り上げます。
もしかしたら、あなたも耳にした事があるナンバーがあるかも。お楽しみに。
マハロ!