ショートショート

テレパシー診察   by 夢野来人

最近は便利になったわ。
お医者さんに行かなくても、テレパシーで診察を受けられるんですもの。待ち合わせ室で待たされることもなく、こうしてコタツの中からでも診断が受けられるのよ。


「テレパス先生、テレパス先生。今よろしいかしら」
「はい、はい。ほほう、初診の方ですな。どうしました」
(さすがね。何も言わないのに、初診だとわかるなんて…)
「私、ちょっと気になっていることがあるんです」
「なるほど、身体的なお悩みですな」
(ほんとにスゴイわ、この先生…)
「ええ。他の人に比べると、耳が尖っているような気がするんです」
「気にすることはありません」
「それと、毛深いのも悩みなんです」
「普通ですよ」
「先生!私の身体を透視でもできてらっしゃるの?」
「透視は専門分野ではありませんが、だいたいの身体的特徴ぐらいは。それと、身長、体重、脈拍、血圧、体温は正確に感じとれますよ」
「どこか、おかしくありません?」
「身体的異常はまったく見受けられませんね」
「良かった。これで、安心してお昼寝できますわ」
「ただ・・・」
「なんでしょう?」
「アクセス先は、動物病院にした方がいいですよ。ミケちゃん」